ごあいさつ

麻酔科挑戦ブログ→院長ブログ

2024-12-27 19:09:00

no.19 当院の帝王切開と最近の帝王切開傾向Part1

愕然という言葉を使ったため、愕然とされた例です。

最近、産婦人科の若い先生たちと食事する機会に恵まれました。

 

その先生の勤務している病院は

総合周産期センターでハイリスク妊娠、双胎、母体搬送で

受け入れたとても早い週数の分娩を扱っている影響もあり

帝王切開率は40-50%くらいここ数年経過しています

(ホームページには書いてあります)

 

若い先生に聞いてみました。

井出産婦人科の帝王切開率はどれくらいだと思いますか??

少し考えて答えてくれました。

20%くらいですか?いや、流石にそんなに低くないですかね

との返答でした。

 

今年は4%くらいかな。昨年は5%くらいですよ。

その前は10%くらいで前後してたよ。

骨盤位の外回転術やダブルセットアップで

(いつでも帝王切開できる体制)

経産婦さん骨盤位の経腟分娩や、何人かTOLAC

(帝王切開後の妊婦さんが、経腟分娩をトライすること)

が上手くいった影響が大きいかな?と答えたら、

愕然とした表情をしていました。

 

一体どれだけの手間暇かけて、帝王切開を回避しているのか、

わかっていない若者に喝といいたいところです。

 

井出産婦人科において

TOLACに関してより安全であるためのいろいろな工夫があります。

 

2024-12-21 15:34:00

no.18 無痛分娩は危険か?? Part2

備えあれば憂いなしというのは

まさに無痛分娩のときにも言えます。

 

想定されることに対する対処ができること。

想定される有害事象をいかに少なく

早期発見できるかどうかということだと思います。

 

そこについての理解など

無痛分娩を管理する医師を始め、

スタッフサイドがどこまでしているか。

そういった事によって安全性に

大変幅があると思います。

 

 

以前に比べると医療も標準化しており、

JALAという団体や各種団体、学会の努力のおかげで

幅は減少しているとは思います。

医療は常に進歩しております。

 

昔から無痛分娩をしている実績ある施設もございますが

どこまでUp dateできているのかが大事で、

現在の主流が一番安全と考えます。

 

 

母体安全への提言2023. Vol.14にありますが

初産婦さんの無痛分娩でびっくりするような無痛分娩、

無痛カクテルをかけているところがある

という事実もあります。

 

 

当院は、現時点で

初産婦様の無痛分娩を致しておりませんが

世の中にはビックリするような無痛分娩をかけている

施設がどういう状況であれ存在しているということに

提言の内容(当たり前のことですが...)を読んだ時には愕然としました。

 

おそらく、他の初産婦さんにも同様の無痛カクテルを

使用していると想像できるため、、、、

妊婦様が安全な無痛分娩を提供する施設に

いかれることを切に願います。

 

2024-12-21 13:03:00

no.17 無痛分娩の際の血小板(血液を固まらせる機能がある)の値

当院では妊婦様全員に

妊娠後期に貧血や血小板減少がないか、

他の施設と変わらなく行っていますが

無痛分娩を受ける方に関しては、

入院時(無痛分娩をかける時)に必ず

点滴をとる際に、同時に採血を行います。

 

 

そこで血小板の値を確認するわけですが、

理由としては<抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン>

にも載っていますが、

硬膜外および脊髄くも膜下穿刺では

血小板数が10万以上であることが望ましい。

8万未満での硬膜外穿刺、5万未満での

脊髄くも膜下穿刺は推奨されないと記載されおり、

これを遵守して硬膜外血腫脊髄内血腫の発生する

リスクに注意しております。

 

 

また、硬膜外血腫のリスクを軽減させるために

より小さい口径の穿刺針を用いることが望ましいと

記載されており今後の検討課題の一つと思います。

妊娠すると血小板は分娩まで減少傾向であり

(外国人のデータであるが、日本人も同様と考えています)

 

 

下記の図(Jessica A, et al. NEJM 2018 )にもあるように

妊娠後期より分娩時の時の値のほうが

より低い値のため、分娩時の値でもって

判断しようと思っているからです。

ただしTable2からは、ほとんどの合併症なき妊婦様は

10万以上であり、ほぼ問題ないと考えています。

図3.jpg

図4.jpg

2024-12-21 13:01:00

no.16 緊急帝王切開 Part1

妊婦様の場合には状況が許せるのなら、

全身麻酔でなく脊椎くも膜下麻酔の方が

圧倒的に安全です。

 

先日、麻酔科として働いている病院で、

胎児心拍異常で緊急帝王切開がありました。

 

勤務している病院ではよほどのことがない限り、

全身麻酔は行いません(皆さん脊椎くも膜下麻酔などの技術が異常なほどレベルが高く時間がかからない)

駆けつけたときには、別の麻酔科医師が既におり、

脊椎くも膜下麻酔を行っていました。

(我々は到着後、状況をみて薬液の調整をその間に行っています:モルヒネの希釈や全身麻酔を想定した準備など)

 

みるからに困難な妊婦様で、

これで入らなかったら全身麻酔とおっしゃっていました。

素晴らしい判断でした。

 

 

脊椎麻酔困難なために、全身麻酔に切り替え、

他の麻酔科医師が全身麻酔を投薬し

私が気管内に挿管し、後は私が管理しました。

到着して5分くらいです。

麻酔科医を始めた頃はビビっていたけど、

いつの間にか色々なことを想定しながら

立場もわきまえつつ冷静に対応できるように

なったんだなーとしみじみと思った瞬間でした。

 

 

その後、硬膜外麻酔を入れようとしたが、

かなり難重してparamedian approachでなんとか入れたら8cm(針は8cmまでしか入らない、、)

と過去最高の深さの一人でした、、、

 

当院でも、無痛分娩を受ける人は

いつでも全身麻酔をかけれる準備はしております。

2024-12-20 12:22:00

no.15 無痛分娩は危険か?? Part1

『無痛分娩って、結構リスクあるんだな』

というコメントを頂きました。

 

 

実際、リスクはゼロではありません。

リスクと言う言葉の解釈はとても難しいです。

ピルを飲む際に、血栓症のリスクが上がると

言われておりますが

実際、妊娠したほうが約10倍ほど高い

と言われております。

妊婦さんには血栓症のことあまり言わないのに、

ピルを飲むときには言うのは

言葉が少し独り歩きしている部分があるなと思います。

 

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