ごあいさつ

麻酔科挑戦ブログ→院長ブログ

2025-09-13 12:43:00

No.62 <無痛感想>

3人目にして無痛分娩をお願いし、出産しました。

上の子のこともあり、計画的に分娩日を決め出産できたことは、

本当にありがたかったです。

私だけでなく、上の子や主人もそれなりに準備することができ家族でおちついて出産の日を向かえられたと思います。

 

無痛分娩に対して、不安がなかったわけではないですが、医院長先生に説明して頂き、(もちろん今までの長いおつき合いでの信頼もありますが)、安心して、おまかせし、出産することができました。

実際には、上2人の時とは違い、出産直前までウトウトする余裕がある程で、体力の消耗もびっくりする程最小限ですみました。

おかげで、体の回復が早かったように思います。

ただ、出産後、無痛の副作用か、吐き気がひどかったのが....

吐き気止めですぐにおさまりましたが。

助産師さんも丁寧に対応して頂き、心も体もゆっくり過ごさせて

頂きました。

いろいろと経験させて頂き今、思うことは、出産方法を選ぶことはお母さんの権利だということ、また、どんな出産でも、尊いということです。

本当にありがとうございました。

2025-09-11 15:54:00

No.61 <変わらぬ優しさ、変わらぬ感謝>

先日、産婦人科の研修医時代にお世話になった恩師からお電話をいただきました。

知識や技術面だけでなく、精神面でも支えてくださった大切な先生の一人です。

確認したいことがあるとのことでしたが、その時は別の予定が入っており、

受付に取り次いでいただいたところ、先生は「14時〜14時30分以外なら大丈夫」とのことでした。

用事は14時15分頃に終わり、緊張するなー、何だろうー、怒られるのかなーと不安な気持ちで受付へ向かいました。

受付と相談して、

「14時30分にかけたらギリギリ過ぎるかな、14時40分にしたら遅いかなー、いや、35分かなー」と少し迷っていました。

正解は何でしょうね。少し時間があったので別の打ち合わせをしていたら

14時25分になっていて、危ない危ない、あまり他の打ち合わせをしていると駄目だなと反省しました。

結局14時32分に電話をかけると、話しているうちにすっかり何十年前に戻ったかのような感覚になり、

相変わらず優しい口調にほっとしました。ご相談の内容は無痛分娩についてで、

メールアドレスも再確認(まだ登録が残っていて驚きました)し、その後メールでやり取りを続けています。

外科系の医師には徒弟制的な側面があり、何年経っても、

どのような立場になってもお世話になった先生方への感謝の気持ちは変わりません。

自分が今ここにいるのは間違いなく先生方の存在が大きかったと改めて感じました。

麻酔科医として経験し学んだことをできるかぎりお返ししていきたい──そう強く思い、

心を込めて真摯に対応させていただきました。

2025-09-10 10:49:00

No.60 <無痛感想>

上の子たちは他病院で自然分娩だったので、

今回も自然希望で、無痛は全く考えていませんでした。

費用もかかるし、リスクもあるし、ネットで調べたら

効くとか効かないとか いろいろ出てくるし、不安なイメージしかなかったです。

 

でも陣痛のあの痛さを知ってるから、耐えられるのか...

産後に自分の体調は回復するのか…と考えていると、

無痛にしたいと思うようになりました。

 

率直な感想は、「無痛、すげえ…」でした

本当に痛くない、本当に産まれるの!? みたいな。

 

お腹は、ぱんぱんに張っているのに痛くない

赤ちゃんが出てくる瞬間こそ痛かったけど、

耐えれる痛さ、痛くないけど産まれる。不思議な感覚でした。

 

出産後の子宮収縮の方が痛かったです。

産まれてすぐ、先生に「次を産める?笑」っと開かれましたが、

産むなら無痛だと思います。

 

すごくいい出産になりました、ありがとうございました。

2025-08-29 11:51:00

No.59 <無痛分娩> 患者様からの感想と局麻中毒についてPart2

局所麻酔薬が血管内に入ると「局所麻酔薬全身中毒(LAST)」を引き起こすことがあり、

その初期症状としては以下のような神経症状が

まず現れることが多いとされています。

 

 

 

• 口周囲や舌のしびれ、金属味(味覚異常)

• 耳鳴り、めまい、視覚異常、聴覚低下

• 口が回らない、言語のもつれ、意識混濁、落ち着かない・興奮する

• 体の震えや筋痙攣、けいれん(進行すると全身けいれんに至ること

 があります)

 

神経症状の後、あるいは急速に進行して

以下の循環器症状が出現する

ことがあります。

 

• 血圧低下、徐脈または重度の頻脈、致死的不整脈、心停止

 

 

【当院での対応・安全対策】

 

• 投与前の慎重な手技:硬膜外挿入時は吸引チェックや

 少量ずつの漸増投与(テストドーズ等)を必ず行い、血管内誤注入のリスクを下げます。

 

 

•  監視体制:分娩・麻酔中は血圧、心拍数、酸素飽和度(SpO2)などを

 継続的にモニターし、異常があれば直ちに対応します。

 

 私やスタッフが手技中および挿入直後は必ず30分は立ち会い、

 状態の変化を見逃さない体制をとっています。

 

• 救命・緊急対応機器の整備:気道確保器具、酸素供給装置、

 除細動器(AED)や各種薬剤を備えた救急カートを常備しています。

 

• 局麻薬全身中毒(LAST)を疑う場合に備え、脂肪乳剤(20%脂肪製剤:イントラリポス)などの

 特異的治療薬も即時投与できるよう用意して日頃からシミュレーションを行い、

 血管確保は18ゲージ血管内留置針を使用しています。(理由は後日公開します)

 

• 即時対応プロトコール:疑わしい症状

(めまい、口唇・舌のしびれ、けいれん、意識障害、不整脈など)が

 出た場合は、投与を中止して直ちに救援を要請し、

 気道確保・酸素投与・けいれんの抑制・循環支持を行います。

 

• 必要に応じて脂肪乳剤投与や高度な循環・呼吸管理、除細動や昇圧薬投与などの

 救急処置を速やかに開始し、母体搬送を連携病院に行います。

 

• スタッフは常に迅速な気道確保と循環サポートが行えるよう訓練されており、

 万が一の事態にもチームで対応できる体制を整えています。

 さらに当院では以下の取り組みを実施しています。

 

 

• 教育・訓練:助産師・看護師を対象に、JALAのカテゴリーDを講習してもらい、

 局麻薬全身中毒(LAST)や麻酔関連急変に対する定期的な

 シミュレーション訓練を行い、初動対応の精度向上に努めています。

 

• インフォームドコンセント:無痛分娩のご説明時には合併症の可能性と

 当院の対応体制を十分にご説明し、ご納得いただいたうえで同意をいただいています。

 疑問点や不安があれば遠慮なくお尋ねください。

 

フォローアップ体制:分娩後も観察と必要なフォローアップを行い、

万が一の遅発症状にも迅速に対応できる連絡体制を整えています。

 

 

• 記録・検証:発生した事象は詳細に記録し、院内での検討や改善に生かします。

 再発防止のための手順見直しやスタッフ教育に反映させます。

 

• 患者様の声の取り扱い:いただいた感想は匿名化に配慮し、

 患者様の同意を得たうえで掲載や資料化を行います。

 個人が特定される情報は記載しません。

 

 

最後に、当院を信頼して無痛分娩をお任せくださった

すべての患者様に心より感謝申し上げます。

 

皆様のご意見は私たちの診療を、より安全で丁寧なものにするための大切な資源です。

ホームページ掲載や診療に関して

ご不明な点やご希望があれば、どうぞお気軽にお知らせください。

 

2025-08-27 14:03:00

No.58 <無痛分娩> 患者様からの感想と局麻中毒についてPart.1

針を刺す時、怖かったですが、痛みもほぼありませんでした。

出産5分前くらいからはとても痛かったですが

他は頭痛もなかったです。ありがとうございました。

 

私からの補足(院長)

この度、無痛分娩についてのご感想をいただき、

まず一言お礼を申し上げます。

感想を拝受した際、今回のように短いお言葉でまとめてくださったことに少し驚きました。

当院でこれまで感想を書いてくださった方々は、

比較的丁寧に経過や思いを書いてくださることが多く、

長文で率直に感想を綴っていただくことがしばしばでした。

ですから今回のように短く端的なご感想をいただくと、最初は少し意外に感じました。

しかし短いからといって価値が薄いわけでは決してありません。

どのような形であれ、患者様が体験を言葉にしてくださること自体が、

私たちにとってはかけがえのない学びであり励みになります。

これまでいただいたご意見は、直接的な改善点の発見や、

スタッフ教育に役立てる重要なフィードバックとなっています。

皆様の声をそのまま掲載することで、これから無痛分娩を検討される方に

実際の感覚を伝えられると考え、将来的には日時を示さず匿名化した形で冊子にまとめ、

外来でもご覧いただけるようにしたいと考えています。どの感想も私たちの宝物です。

ご記載くださったすべての方に心より感謝申し上げます。

患者様から頂く些細な言葉や行為の一つ一つが、私たちの励みであり、

医療者としての原点を思い出させてくれます。

当院では、無痛分娩を希望される方について、

原則として初産婦の方は妊娠初期から、経産婦の方は妊娠中期以降に私が継続して診させていただいています。

これは単に利便性のためではなく、安全管理上の重要な理由があるからです。

妊婦健診を通じて繰り返し接することで、

患者様の性格や不安の傾向、痛みや薬剤に対する反応、既往歴や家庭環境などが

自然に把握でき分娩時のコミュニケーションや対応が格段にしやすくなります。

分娩当日の急な状況変化にも落ち着いて対処できるのは、

こうした日頃の信頼関係と情報蓄積があるからこそです。

 

また、無痛分娩での硬膜外麻酔には合併症のリスクが伴います。

例えば、局所麻酔薬の血管内誤注入により局麻中毒(local anestheticsystemic toxicity:LAST)が

起こる可能性があり、報告によっては血管内誤注入は5〜10%程度の頻度で起こり得るとされています。

 

 

ただし、私見ですが、私の硬膜外麻酔の経験からすると、

カテーテルの血管内迷入の確率は、もう少し低い(妊婦さんで同等くらいの印象)印象がありますし、

誤注入は更に低い(というより、未然に防いでいるため経験がない:私の研修していた聖隷浜松病院では起こったのが私は見たことがない)ですし、

当院での今までの無痛分娩の際には今のところ、

血管内迷入、当たり前ですが、誤投与は発生はしておりません。

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