ごあいさつ
麻酔科医としての挑戦ブログ(哲弥先生)
no.47<無痛分娩を経験してみて>患者様の声
普通に何事もなく終わった患者様の無痛分娩の感想というより
少し変わった経過の妊婦様の無痛分娩の声をお届けしております。
初めは、自然か無通か本当に悩んでいました。
私なりにいろいろ調べ、先生にも聞いて無痛にしました。
経験してみるのもいいなぁと最初は軽い気持ちでした。
でも、健診の時にある程度の出産予定日が決まること、
上の子がいる私にとっては予定が決めやすく
周りにも(主人、親、同僚)伝えることができたことは良かったことの一つだと思います。
当日、二人目だからかお産の進みが早く少し間に合わなかったけど
産む直前くらいで麻酔が効いてきて、最後は本当に痛くありませんでした。
でも不安に思っていた、りきめるのかなぁに関しては
何となく陣痛の感じが分かったので、りきめて良かったです。
無痛に対して不安に思っていたことが2つあり、
1つ目が麻酔をいれる時にめちゃくちゃ痛い。
2つ目がちゃんと力むことが出来るのか?でしたが、
先生のうでが良いのか全くと言っていいくらい大丈夫でした。
そして、2人目を無痛で産んだから思うことですが、
産後の回復がとても早いように感じています。
それが無痛を選択して一番良かったことの一つかもしれません。
次、出産するときも(今回は少し間に合わなかったけど)無痛を選択すると思います。
有難うございました。
<私からの補足>
計画無痛分娩といいながら、急激に陣痛が初来して急産になりました。
今回は、今までの計画分娩の方でも最も進行が早い方でした。
逆にいうと計画分娩を受けてもらってよかったなと、
車中分娩になりかねなかったなと思える経過でした。
計画分娩の時に、急産であった時は、脊髄くも膜下麻酔かCSEAの方が良いと考えますが
硬膜外の準備をして無痛カクテルを作って、さあ刺すぞという段階でしたので
(今は硬膜外麻酔のキットの中にルーチンで脊髄くも膜下麻酔の準備しております)
急な方向転換ができず、硬膜外カテーテルは1分以内に入れましたが
くも膜下麻酔かCSEAに変えたほうが良かったなと思います。
ただし、とても痛がっている妊婦様に対して
CSEAは5万ほど値段が上がるのですが、
口頭同意を得るのも何となく、こういう時は、脊髄くも膜下麻酔でしたね、、
CSEAや脊髄くも膜下麻酔をする時に大事なのは
分離麻酔を行うこと(マーカインをまず使いますが、希釈してmotor blockが怒らないようにすること、
そして僕は麻薬を追加します)頭痛が起きないように25G ペンシルポイント針(CSEAは27Gです)ですること、
子宮が過収縮を起こす可能性があるので、胎児心拍はもちろん観察することと
その対応をすることがとても大事です。
もっと、前回の分娩時間も早かったようですが、
そういった問診に加えて早い時は脊髄くも膜下麻酔かCSEAになるよと
同意書の段階で強調しておくべきでした。
なお、当院では無痛分娩の際に、BMI25以上の方は実は、値段が上がります。
今回の経過は最終的には痛みを感じない無痛分娩を経験してもらえましたが、
痛みの時間が硬膜外麻酔が効いてくるまで15-30分かかりますし、
実際かかりましたので、当初の予定より大幅な値引きをさせて頂きました(私からの気持ちです)
そして、背中を刺す時にめちゃくちゃ痛いというイメージをお持ちだったようですが
当院では局所麻酔の針の太さにもこだわっています。
靱帯(ほとんど局麻は入らないし、刺しても押される感じ)皮下組織、
皮内に適量の局所麻酔を致しますので、硬膜外麻酔を刺す時は痛みというより
押される感じがあると思っておいて下さい(イメージは歯医者さんで麻酔を受ける感じ)
no.46<産婦人科診察の痛み>Part1 産科編
痛みを極力減らすように産婦人科医であり
麻酔科医である以上、常日頃考えます。
その中でも、産婦人科診察は誤解されやすいので
私見を書いておきます。
予定では産科編と婦人科編に別れます。
まずは、妊婦健診の時のことです。
私は井出産婦人科に勤務する前はPelvic examinationの中で
(適切な日本語がないので英語で表現しました。内診台にのって診察を受けることです)
重要視していたのは、経膣超音波でした。
理由は痛くないし、情報量が多いと思っていました。
これは産婦人科になったときに教えて頂いた影響があるのかもしれません。
今、思い返せば当時の部長は切迫早産の診断の時に
内診を重要視していて、経膣超音波での頸管長というのを
あまり重要視していませんでした。
一方、医長以下の先生は逆で経膣超音波での
頸管長を重要視していました。部長は考え方が古いとか言われていました。
なので、部長に苦言を言われながらも頸管長が25mmより
短くなったら早産のリスクが増えて、入院なんてことはザラでした。
(後になって、自分の考え方が全く変わるとはこの時は思っていませんでした)
経験からそういうのとは違うと、内診で判断していた歴史が長い?
部長は怒っていましたが、当時のマニュアル本のようなものにも
そういうことが書いてあったので、どうなんだろうと思っていました。
実際に明確に答えを教えてくれる人がいませんでした。
1996年にIamsさんが(知りもしないのに勝手にイアムズ、イアムズといっていましたが)
早産リスクについて、医師ならだれもが知る超一流雑誌
The New England Jounal of Medicineに載ってから頸管長、頸管長と時代が言い出しました。
(それから実際の論文を熟読してあれ?なんか思っていたのといろいろ違うぞと
3-5年後?くらいに強烈に思ったのを記憶しております)
そこで解釈を間違えていた?研修病院先での自分は、
頸管長をもとに、すぐに入院などしてもらっていました。
その後退院して、予定日超下はもちろん、41週以降
陣痛誘発するなどのパターンはそれなりにありました。
no.45 麻酔科実習生
私も、今勤務している病院で2 or 3ヶ月?ほど実習させてもらいました。
当時は部長と一緒に手術室に周ってラリンゲルマスクというのを
数しれないくらいトライさせてもらった記憶があります。
短期間ですが、また徳島大学の学生が実習にきました。
同じ大学の後輩というのは可愛い、という表現があっているのかわかりませんが
男性・女性に関わらず、可愛く感じます。
相手の目も結構キラキラしており、手技を経験したいという気持ちが伝わってきます。
ある時、担当一緒にあたっていたっけ?と聞いたら、
時間があったのでチャンスがあればさせてもらいたいです。と目を輝かせていました。
マスク換気や気管内挿管をしてもらうのですが、その前に自分が喉頭展開などをして
これは難しいとか、させない方がいいなとか、大丈夫だなとか、
判断してやってもらったりします。
自分はどちらかというと、自分でやって自己完結でいきたいタイプなのに
最近余裕が出てきたのか、そういうやる気がある子には
いろいろとさせてあげたくなります。
去年もそういえば、いろいろと経験させてあげたいなと思う子もいました。
ただ少し残念な事がありました。
僕は血管をエコーを使って取るときは椅子に座って取るのですが、
その椅子の事を勝手に皮肉混じりにおじさん椅子と名付けてます。
その子に解説をした訳でもなんでもないのに、おじさん椅子と言葉を発したら、
ダッシュでもってきてくれるという、、、
流石に20歳くらい離れていたら当然オジサンなんだなと、
再認識せざるを得ませんでした。
でも、そんなにダッシュで反応してくれなくてもいいんだけどな、、、、、
血管確保 Part2
先日、採血に難重する患者様に出会いました。
当院で一番採血が上手いと思われる看護師さんがみても、
どこをさしていいかわからないと。
やはり採血でよく失敗される(何度も何度も刺される)そうです。
難しそうなので、超音波で私がとることにしました。
驚いたことに、その方の右手の肘の近くは表在静脈というのが
みてもあまりわかりませんでした。
代わりに、動脈と静脈が割と浅い位置で伴走しており、
ここから指すのは大変危険だと思いました。
刺したはいいが動脈も刺しかねないくらいでした。
神経は離れているので神経損傷はおこらないと思いますが、
それでも採血でなるべく動脈は刺したくないところです。
左手の肘の近くは表在静脈が少し奥ですが超音波で確認し
そこから採血をさせてもらいました。
もちろん一回で成功し必要量の採血20mlほど採取出来ました。
取る方も相当困るだろうなと思いましたし、右手で今まで採血してもらっていたと言ってたので
今日刺したここに必ず血管があるからそこから採血してもらったらいいよと、本人には伝えました。
今度、職場で健康診断があって採血があるそうです。
うまくいくことを願います。
骨盤位の経腟分娩と無痛分娩
骨盤位で経腟分娩は当院でも滅多に行いませんが、
今回 無痛分娩と併用しながら経腟分娩を成功に至った
妊婦様に対して感想を聞いてみました。
===無痛分娩を経験して===
無痛分娩をしようと決断した理由としては、逆子の経腟分娩を希望していたからです。
近年、個人医院で逆子の経腟分娩をしている産院が少ないと聞く中で、
井出哲弥先生の元でなら可能だということから、経腟分娩でトライしてみようと思いました。
先生と話し合いを重ねる中で、もし分娩中に危険となり帝王切開に切り替えるとしても
無痛にしていると素早く切り替えることができること、
そして逆子のため分娩前に腟を広げる前処置があることを教えて頂き
より安全な方法かつ、少しでも冷静に落ち着いてお産に挑めた方がいいなと思い、
無痛分娩を決めました。
3回目のお産であることや、自分自身痛みに強いという自覚もあり
逆子になるまでは無痛分娩にする選択肢すら私にはありませんでしたが、
いざ経験してみて、今回は本当に無痛分娩にして良かったです。
前処置の痛みの不安からの開放、陣痛が来ているはずなのに張りすらそんなに感じないし、
陣痛中の内診すらも全く痛みない。
クライマックスの時に少し痛みは感じたものの全然耐えれる程度でした。
分娩後に少し気分が悪くなり嘔吐が一回ありましたが、
すぐに吐き気止めを注射してもらいすぐに良くなりました。
回復室では、麻酔をした部分の違和感や感覚が戻って来るムズムズ感?と
目がチカチカする(眩しい感じ)が少しありました。
それも数時間でよくなり、自力でトイレに行けるようになる頃には無くなっていました。
出産の翌日は少しだけ腰部に痛みがありました。
麻酔の副作用があったものの、あんなに人生で一番痛いと言われる痛みから
開放されるというのは本当にありがたい限りでしたし、無痛にして良かったなと思っています。
===逆子の経腟分娩を経験して===
井出先生の元で2回、妊婦健診や自然分娩を経験していることから
正直、逆子の経腟分娩に対して不安はほとんどなかったです。
リスクや色んな選択肢、可能性を話してもらい、
納得して経腟分娩を選択することが出来ました。
ただ、無痛の麻酔無しでこのお産が出来たかと聞かれると
絶対無理だったなというのが正直な気持ちです。
陣痛の痛みにプラスして頚管を広げたり、
腟を広げる処置の痛みも加わると思うと絶対耐えれなかったなと、、、
でもやっぱり産後の回復も早いし私はこの選択をして良かったなと思います。
<私からの補足>
感想ありがとうございます。そして無事な出産おめでとうございます。
私のもとでなら可能とお書き頂きありがとうございます。
骨盤位分娩の分娩管理に関しては父である井出哲正院長から教えて頂いたもので、
いわゆる伝統技術の継承というやつです。
私は、それに無痛を加えたに過ぎません。
Hannah M(統計学者と池田智昭先生はいってたような...記憶がありますが)らによる
超一流雑誌Lancetに2000年 骨盤位分娩するより
帝王切開の方が予後が良いと載ってから、世の中では一気に骨盤位→帝王切開と流れました。
そして以降、骨盤位分娩の継承者は激減しました。
私はこの、論文を若かりし時、何度も何度も読み直し
研究デザインの欠点などを思い賛成はしていませんでした(生意気だと思いますが...)
以降、産科ガイドライン2023にも単胎骨盤位の分娩様式についての
議論は継続しているようです。
ではなぜ、今回 外回転術を勧めなかったのかというと、
男児であること、殿部がすっぽり骨盤にはまって ずっと単殿位だったこと、
臍帯の位置は常に頭側にあって、まったく首にも何処にも絡まってなかったこと。
そしてなにより羊水が正常ギリギリ範囲の少なさであったことと
経産婦さんであったことです。
外回転術を行えば、問題なく回ったかもしれませんが、
経腟分娩の方が確かに成功率は高いと内診所見からも判断できたからです。
無痛なしの骨盤位分娩と少し感じは違いましたが、
今回の胎児にとっては臍帯血のPHはもちろん、帝王切開で娩出するより
遥かに負担が少なく娩出できたという印象です。
もちろん、いつ急変が起きるかわからないので待機の医師にいてもらうこと、
帝王切開の準備をした状態で分娩にTrialする。そういう備えのほうが大事だと思っております。
満足してご出産していただければとても、我々も幸せです。
これからも一人ひとりの患者様に満足してご出産して頂けるように
私が昔 誓った医療が、最近少しずつ提供できてとても良かったです。
当院はより患者様に満足して頂けるように、
少しずつではありますが変化を続けております。
やはりDPEはしておいた方が、より痛くなかったろうな、、、