ごあいさつ

麻酔科医としての挑戦ブログ(哲弥先生)

2024-12-27 19:28:00

当院での無痛分娩の実績に関してPart2

妊婦様の硬膜外麻酔が入らないからと産科医から頼まれることがあります。

そういう時に、変わりに刺しに行くことがあります。

今、麻酔をかけている病院は無痛分娩を積極的に行っており

麻酔科での研修を3ヶ月しっかりされた方たちで

皆様とても上手いので、呼ばれると少し緊張します^^;

 

その時はボスとそのボスが最も信用しているであろう

医師2人でかけても入らなくて、その2人を見た時は帰ろうかと思いました^^; 

 

まぁ、そういった理由で緊張しながら、偶然?サクッと成功したわけですが

変な汗がでました。

 

帝王切開の麻酔をかけるときに麻酔科が

脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔(CSEA)をかけるわけですが、

これが技術的に難しくとても大事です。

何故かというと、かなり正中、真ん中に入らないと足が痺れたり(放散痛)

脊髄液が戻ってこなかったりします(前述の図もあり)

 

最初のうちは、申し訳ないですが、結構 足を痺れさせることが、それなりにありました。

こういうトレーニングを受けている医師の方が

明らかに真ん中を刺すトレーニングをしているので、

カテーテルの位置は良くなると考えます。

 

妊婦様ではBMI30くらいから少しずつ難しくなってきます。

BMI35超えると、かなり難しくなります。

BMI40になると棘突起というのが触れる人が今のところいないので

エコーを使わないと、かなり困難になります。

 

とはいえ、BMI25でも難しい方も中にはおられます。

当院でかけさせて頂く場合にはBMI25というのを書いていますが

BMI40まではCSEAの経験はあります。

その人の背中の触れ具合など個人差がかなり大きいので、

一応BMI25というので書かせてもらっておりますが

それ以上の方は棘突起を触れるかどうか

診察してみないとわからないというのが正直なところです。

2024-12-27 19:26:00

当院での無痛分娩の実績に関してPart1

皆様、気になることと思います。

これから当院での実績は増加していくと予想しておりますし

現在、着実に増加して、ご満足頂いております。

 

妊娠初期から希望を表明している患者様もおられます。

私自身でいうと、無痛分娩の根本となる硬膜外麻酔

脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔(CSEA針で脊髄麻酔のときもあり)を加えると1000件(2024.11.9の時点で)以上あり

現在進行系で診療を行っており増加しています。

 

これほど多くのいろいろな硬膜外麻酔の経験が短期間である

産婦人科医というのは少ないのではと個人的には思っています(井の中の蛙で、全然違うかもしれませんが、、、)

 

胸部の硬膜外麻酔というのは腰部(無痛の時は腰部)に比べて一般的に難しいといわれており

その件数は300件(2024.11.9の時点で)を超えました。

 

年輩の方で女性は骨の変形などが酷く一般的に更に難しくなり

80歳代の方を泣く泣く胸部の硬膜外麻酔をかけることもあります。

90歳代の方に脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔をかけることもあり、

骨に隙間あるかなと思いながらかけることもあります。

 

色々な経験を積みながら、なかなか硬膜外麻酔の奥深さを感じています。

 

2024-12-27 19:21:00

分離肺換気 Part1

最近、呼吸器外科の麻酔をかけてきました。

定期的に呼吸器外科の麻酔は当ててくれます。

 

呼吸器外科の麻酔の特徴は簡単に言うと患側の肺は換気しない片肺換気です。

なぜなら、両肺換気だと肺が呼吸のたびに膨らんだり

萎んだりしてとても手術がやりにくいからです。

それを可能にするのが、ダブルルーメンチューブ(下記にあるような)という特殊な挿管チューブです。

 

気管支鏡というのを使って、このチューブの位置を微調整していきます。

微調整しても体位変換をするため、必ず再度位置の確認を行い、位置の修正が必要になることもあります。

呼吸器外科は上記のように、特殊な挿管チューブを使用しますが(術中管理も大変ですが)

もう一つ大変なのが、胸部硬膜外麻酔です。中位胸椎の硬膜外麻酔ということになりますが、

この部分の硬膜外麻酔は硬膜外麻酔の中でも最も難しく、更に年配の女性で難易度が高かったです。

 

ここで、硬膜外麻酔が入ると術中、術後の疼痛管理としてとても有用なのです。

思ったよりも早く硬膜外腔に到達し問題なく硬膜外チューブを進めることができてホットするも束の間、

ダブルルーメンという特殊な挿管チューブをいれて、

片肺換気にしたり、酸素濃度を色々かえたり術中にとにかく色々するので、

まだまだ余裕なく一苦労です。

図8.jpg

2024-12-27 19:16:00

無痛カクテル Part2

産科麻酔科学会で勧められていますが上記の図にあるように、

ブビパカインよりかは、レボブピバカイン、ロピバカインが推奨されています。

 

ブビパカインは脊髄くも膜下麻酔にはよく使われていますが

硬膜外麻酔として使用するときには0.125%~0.25%に希釈して使われるが、

心臓や中枢神経に毒性があること、潜在的な運動神経ブロックが言われており

無痛分娩としてはあまり適していません(特に今年に関してはロピバカインの供給不安定があり、致し方ない場合もあります)

 

レボブピバカインは心毒性がブピバカインに比べて低いと言われています。

ロピバカインは0.2%~1%までで使用できますが、

ブピバカインに比べて痙攣への閾値が高くより心毒性が低いと言われています。

 

上記は麻酔のバイブル書 Miller’s Basics of Anesthesia  eight editionに記載してありますが

無痛分娩となると、ロピバカイン0.2%だと運動障害をおこす可能性があるために

大体0.1%程度に希釈するパターンが多いのではと推測します。

その分、オピオイド(麻薬:フェンタニル)を混ぜることによって

相乗効果で麻酔効果を強くし、運動神経を遮断しないという効果があります。

これらの薬剤のコンビネーションにより

お互いに量に依存した悪影響を減らすことができるのです。

当院では0.1%アナペイン(ロピバカイン)とフェンタニル2μg/mlという無痛カクテルを現時点では使用しています。

 

下記は母体安全のへの提言2023. Vol.14に記載している提言の一部です。

参考になれば幸いです。

図7.jpg

 

2024-12-27 19:13:00

無痛カクテル Part1

無痛分娩の薬液の組成のことを上記のように表現することがあります。

今の日本においては、ほとんどが似たような組成になっているのだと思っていますが、、

なかにはぜんぜん違う組成のところもあるようです。

 

一般的に使用する局所麻酔薬として

テストドース用と維持用に別れます。

テストドーズ(カテーテルが、くも膜下腔や血管内に迷入していないかどうかを確認する)用は主に

短時間作用型、維持用としては長時間作用型に別れます。

 

今回で言う無痛カクテルは主に維持用のことをいいます。

日本で利用できるのは、ブピパカイン、ロビバカイン、レボブピバカインが使用できます。

図6.jpg 

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