ごあいさつ
麻酔科挑戦ブログ→院長ブログ
No.64 <無痛感想> Part2 無痛分娩 患者様からの感想とトコフォビア(出産恐怖)について
トコフォビア(出産恐怖)について
出産に対する強い不安や恐怖は、医学的には「トコフォビア(tocophobia)」と
呼ばれることがあります。
過去の辛い分娩経験や長時間の陣痛、痛みに対するトラウマが原因で、
次回出産に強い不安を抱く方は少なくありません。
当院では、こうした心理的背景を含めて丁寧にお話を伺い、
安心して出産に臨める体制づくりを心がけています。
無痛分娩(硬膜外麻酔)の効果と期待できること
1 硬膜外麻酔は、多くの方にとって分娩時の陣痛を
大幅に和らげ、出産をより落ち着いて迎えられる方法です。
局所麻酔薬(当院では現在、局麻中毒を少しでも予防するために、
0.1%アナペインとフェンタニル2μg/ml)を用いて下半身の痛みを軽減するため、
分娩中の内診や導尿、会陰切開時の痛みが軽くなることが期待できます。
産婦さんによっては「ほとんど痛みを感じなかった」「翌日の疲労感が軽い」といった感想をいただくこともあります。
2 カテーテル挿入時の痛みや第二期(いきみ)への影響について
カテーテル挿入時の感覚は、通常の皮下注射とは異なり、
体の深部での刺入感を強く感じる方がいます。
痛みの感じ方には個人差があるため、ご不安な場合は事前にしっかり説明し、
できる限り負担を減らす配慮を行います。
例えば、以下のような対策を組み合わせて実施しています。
事前の十分な説明と同意手技の流れ、期待できる効果、
起こりうる不快感や副作用について、
希望者には時間をかけてわかりやすくご説明します。
不安な点や希望は遠慮なくお伝えください。納得いただいた上で手技を行います。
◯局所麻酔と手技の工夫
カテーテル挿入部位にはまず局所麻酔を行い、
皮膚~浅在組織の痛みを和らげます。
私は経験に基づく迅速かつ正確な手技を心がけ、
刺入時間を最小限にするよう努めています。
◯体位・環境の配慮
挿入時には座位や側臥位など、
患者さんが最も安定して楽に感じられる体位を選びます。
必要に応じてクッションや毛布で体を支え、
落ち着ける環境を整えます
(ただし、当院ではBMIの兼ね合い上、
側臥位が楽な方の方が圧倒的に多いです。
座位をご希望の方は先にお伝え下さい)
◯呼吸法やリラクゼーションのサポート
助産師が呼吸のタイミングや
リラックス法を実演し、挿入時の緊張を和らげるお手伝いをします。
◯不安が強い場合の追加サポート
強い不安や恐怖感がある方には、以
下のような追加支援を行い、できる限り安心して
分娩に臨めるようにいたします。
◎必要時の薬理学的対応(慎重に実施)
極度の不安で手技が困難な場合は、短時間の鎮静や
安全に配慮した薬剤の使用を検討することがあります。
薬剤使用は母体・胎児の安全を最優先に判断し、
十分な説明と同意のもとで行います。
◎出産後のフォローと専門紹介
分娩後に強いストレス反応や落ち込み、トラウマ症状が残る場合には、
産科外来で継続フォローを行い、必要に分娩後に強いストレス反応や
落ち込み、トラウマ症状が残る場合には、産科外来で継続フォローを行い、
必要に応じた対応を考えております(詳細は後述します)