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麻酔科挑戦ブログ→院長ブログ

2025-09-19 15:23:00

No.64 <無痛感想> Part2 無痛分娩 患者様からの感想とトコフォビア(出産恐怖)について

トコフォビア(出産恐怖)について
出産に対する強い不安や恐怖は、医学的には「トコフォビア(tocophobia)」と

呼ばれることがあります。

過去の辛い分娩経験や長時間の陣痛、痛みに対するトラウマが原因で、

次回出産に強い不安を抱く方は少なくありません。

当院では、こうした心理的背景を含めて丁寧にお話を伺い、

安心して出産に臨める体制づくりを心がけています。

 

 

無痛分娩(硬膜外麻酔)の効果と期待できること

 

1  硬膜外麻酔は、多くの方にとって分娩時の陣痛を

 大幅に和らげ、出産をより落ち着いて迎えられる方法です。

 局所麻酔薬(当院では現在、局麻中毒を少しでも予防するために、

 0.1%アナペインとフェンタニル2μg/ml)を用いて下半身の痛みを軽減するため、

 分娩中の内診や導尿、会陰切開時の痛みが軽くなることが期待できます。

 産婦さんによっては「ほとんど痛みを感じなかった」「翌日の疲労感が軽い」といった感想をいただくこともあります。

 

2 カテーテル挿入時の痛みや第二期(いきみ)への影響について
 カテーテル挿入時の感覚は、通常の皮下注射とは異なり、

 体の深部での刺入感を強く感じる方がいます。

 痛みの感じ方には個人差があるため、ご不安な場合は事前にしっかり説明し、

 できる限り負担を減らす配慮を行います。

 例えば、以下のような対策を組み合わせて実施しています。

 事前の十分な説明と同意手技の流れ、期待できる効果、

 起こりうる不快感や副作用について、

 希望者には時間をかけてわかりやすくご説明します。

 不安な点や希望は遠慮なくお伝えください。納得いただいた上で手技を行います。

 

◯局所麻酔と手技の工夫
カテーテル挿入部位にはまず局所麻酔を行い、

皮膚~浅在組織の痛みを和らげます。

私は経験に基づく迅速かつ正確な手技を心がけ、

刺入時間を最小限にするよう努めています。

◯体位・環境の配慮
 挿入時には座位や側臥位など、

 患者さんが最も安定して楽に感じられる体位を選びます。

 必要に応じてクッションや毛布で体を支え、

 落ち着ける環境を整えます

(ただし、当院ではBMIの兼ね合い上、

 側臥位が楽な方の方が圧倒的に多いです。

 座位をご希望の方は先にお伝え下さい)

 

   ◯呼吸法やリラクゼーションのサポート
    助産師が呼吸のタイミングや

    リラックス法を実演し、挿入時の緊張を和らげるお手伝いをします。

 

   ◯不安が強い場合の追加サポート
    強い不安や恐怖感がある方には、以

    下のような追加支援を行い、できる限り安心して

    分娩に臨めるようにいたします。

 

    ◎必要時の薬理学的対応(慎重に実施)
     極度の不安で手技が困難な
場合は、短時間の鎮静や

     安全に配慮した薬剤の使用を検討することがあります。

     薬剤使用は母体・胎児の安全を最優先に判断し、

     十分な説明と同意のもとで行います。

 

 ◎出産後のフォローと専門紹介
  分娩後に強いストレス反応や落ち込み、トラウマ症状が残る場合には、

  産科外来で継続フォローを行い、必要に分娩後に強いストレス反応や

  落ち込み、トラウマ症状が残る場合には、産科外来で継続フォローを行い、

  必要に応じた対応を考えております(詳細は後述します)

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