ごあいさつ
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No.58 <無痛分娩> 患者様からの感想と局所中毒についてPart.1
針を刺す時、怖かったですが、痛みもほぼありませんでした。
出産5分前くらいからはとても痛かったですが
他は頭痛もなかったです。ありがとうございました。
私からの補足(院長)
この度、無痛分娩についてのご感想をいただき、
まず一言お礼を申し上げます。
感想を拝受した際、今回のように短いお言葉でまとめてくださったことに少し驚きました。
当院でこれまで感想を書いてくださった方々は、
比較的丁寧に経過や思いを書いてくださることが多く、
長文で率直に感想を綴っていただくことがしばしばでした。
ですから今回のように短く端的なご感想をいただくと、最初は少し意外に感じました。
しかし短いからといって価値が薄いわけでは決してありません。
どのような形であれ、患者様が体験を言葉にしてくださること自体が、
私たちにとってはかけがえのない学びであり励みになります。
これまでいただいたご意見は、直接的な改善点の発見や、
スタッフ教育に役立てる重要なフィードバックとなっています。
皆様の声をそのまま掲載することで、これから無痛分娩を検討される方に
実際の感覚を伝えられると考え、将来的には日時を示さず匿名化した形で冊子にまとめ、
外来でもご覧いただけるようにしたいと考えています。どの感想も私たちの宝物です。
ご記載くださったすべての方に心より感謝申し上げます。
患者様から頂く些細な言葉や行為の一つ一つが、私たちの励みであり、
医療者としての原点を思い出させてくれます。
当院では、無痛分娩を希望される方について、
原則として初産婦の方は妊娠初期から、経産婦の方は妊娠中期以降に私が継続して診させていただいています。
これは単に利便性のためではなく、安全管理上の重要な理由があるからです。
妊婦健診を通じて繰り返し接することで、
患者様の性格や不安の傾向、痛みや薬剤に対する反応、既往歴や家庭環境などが
自然に把握でき分娩時のコミュニケーションや対応が格段にしやすくなります。
分娩当日の急な状況変化にも落ち着いて対処できるのは、
こうした日頃の信頼関係と情報蓄積があるからこそです。
また、無痛分娩での硬膜外麻酔には合併症のリスクが伴います。
例えば、局所麻酔薬の血管内誤注入により局麻薬中毒(local anestheticsystemic toxicity:LAST)が
起こる可能性があり、報告によっては血管内誤注入は5〜10%程度の頻度で起こり得るとされています。