ごあいさつ
麻酔科医としての挑戦ブログ(哲弥先生)
硬膜外麻酔の合併症
照井先生という現在、産科麻酔学会の理事長をされている
先生が発刊されている硬膜外無痛分娩という本の記載で頻度が書いてあります。
私も、10年以上前、母体に関する会議の後の懇親会(大阪の千里中央)で
一度、大きな同じテーブルについて、お見かけしたことがありますが
豪快にビールを飲まれている姿が印象的でした。
当時、池ノ上克先生(元、宮崎大学学長、現在、九州医療科学大学学長)や
池田智昭先生(現在、三重大学病院長)、桂木真司先生(現在、宮崎大学産婦人科学教授)など
がおられて、緊張しならがらもちょっと裏話など色々聞けて、
刺激的な会だったと記憶しております。
(表)硬膜外無痛分娩の麻酔合併症と頻度
合併症 頻度
低血圧 17〜37%(17%)
硬膜穿刺後頭痛 1〜2%(0.7%)
背部痛 30〜40%(0.1%)
不成功 1.5〜10%(9.6%)
悪心 1〜2.4%(0.6%)
搔痒 1.3%(0.2%)
硬膜下注入 0.1〜0.82%(0)
血管内誤注入 5〜10%(0)
痙攣 0.02%(0)
クモ膜下誤注入 <1.6〜2.9%(1例)
全脊髄クモ膜下麻酔 0.02%(0)
放散痛(4〜6週間持続) 0.05〜0.42%(0)
運動神経麻痺 0〜0.14%(0)
硬膜外血腫 非常に稀(0)
硬膜外腫瘍 0.0015%(0)
(照井克生. 野口翔平. 硬膜外無痛分娩.南山堂.改訂4版2022 より引用、一部改変)
上記の横の()は埼玉大学総合医療センターでの2000年からの13年間、865例における頻度のようです。
当院でも同様以上の数字が出せると思っています
(埼玉大学ではおそらく当院に比べてBMIが高い妊婦様も受け入れている可能性があるため)。
ただし、そう痒感や悪心に関してはもう少し多いのではないかと推察します。
また、計画無痛分娩の影響か低血圧はあまり、発生しない印象です。
もちろん、数が少ないためもあると思いますが
いまのところ、発生しているのは悪心、そう痒感です。